ある日の特殊清掃の現場でのことですが。
その現場はマンションの一室でした。
ベッドの上で亡くなられていた故人様のお身体からは腐敗体液が染み出しており
ベッドマット、ベッドの底板を突き抜けた体液がベッドの下のフローリングの板まで
滴り落ちて染みになっていました。
フローリングの板に残った染みの跡の面積は大きくはなかったのですが。
室内の臭気はかなりの強さでした。
室内に発生していた蝿の成虫の量は少なめでしたが
ベッドマットとベッドの底板の間の隙間には小さ目の蛆虫がそこその量、湧いていました。
ベッドのあった室内の荷物を全て撤去したのちに空になった室内の染みが残った
フローリングの板を剝す作業に移りました。
現場となったお部屋はフローリングの板の下、基礎のコンクリートとの間に消音材として
コルク材が敷き貼られていました。
フローリングの板の表面上の染み部分よりもその下のコルク材の部分の方が
染みている面積が大きく。
フローリングの板を剝がしてその下の染みがついたコルク材の部分に消毒剤を噴霧しようと
目を向けると、そこには染みの部分一面に、ぞわぞわと白くとても小さな蛆虫が
無数に蠢いていました。
表面上に見えている部分よりも被害が広がっていた事に驚きました。
現場がコンクリート製のマンションで良かったと安堵しました。
見えている部分よりも見えていない部分の予測が難しい。
特殊清掃の現場の難しさを感じました。